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※製品の仕様・デザイン等は予告なく変更 することがあります。 |
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植物の中でも、果物、特にミカンやブドウ、モモなどは生育過程の水分状態で成熟期の果実のおいしさや果実に含まれる成分量も異なります。また、生育途中でのかん水も重要です。毎年おいしい果物を作るためには、どのような水管理をしたら良いでしょうか。 ウンシュウミカンでは、夏から秋の降水量が少ない年に甘みの強い果実ができることが知られていますが、一方で降水量が少なすぎると果実が小さくなり、酸っぱいミカンとなり菊ミカンと呼ばれる果皮障害が発生し樹も衰弱します。したがって、生育時期に応じた最適な水分状態で管理することが重要になりますが、植物の水分状態を把握することは、これまで、高価な測定機器を使わなければできませんでした。また、果樹のように根域の広い作物では土壌中の水分は、計測する位置や深度などに普遍性を欠き、根域制限栽培を除くと必ずしも適切でない場合が多いといえます。 そこで、考えられたのがこの「水分ストレス表示シート」(以下「シート」と表現)です。 当初、ウンシュウミカン用として(国)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と共同開発し、高品質果実生産のための水分状態を把握するツールとして、また、かん水指標づくりなどの利用にも期待されています。 ミカン以外でもブドウやモモなど果樹の水分状態を、色の変化までの時間を計測することで推定できる簡易指標として利用できます。 |
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本シートは、葉の裏に貼り付け、葉の水分状態を反映して気孔からの蒸散による水分がシート中央のろ紙に含まれる塩化コバルトに吸着(図1)され、一定以上の水分を吸収すると色が変化する(青→薄赤色)特性を利用して水分状態を視覚的に判断するもので、水管理を必要とする果樹栽培の生産現場でも利用できる簡易なツールといえます。色が変わらない場合あるいは色変化に長時間を要する場合には、水分不足状態であると判断できます。 |
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葉の気孔から出てくる水分量、すなわち蒸散量の違いを色変化として目で確認できます。 変化する色の違いは、単位時間で出てきた水分(蒸散量)の違いです。水分ストレスの強い葉(乾燥状態の葉)と弱い葉(水分が多い状態の葉)では蒸散量が異なり、同じ単位時間でもシートの色の変化が変わってきます。 |
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園地で計測しようとする樹体を選び、目通り部分(樹冠の赤道部分)の位置の健全な葉を選び、蒸散が盛んな日中(10:00~14:00頃)に十分な日光が当たっている葉の裏側(気孔が存在する側)に貼り付けます。シートは大気中の湿度の影響を防ぐためにアルミ箔で一枚ずつ個装されており、アルミ箔から出したら直ちに貼り付けてください。貼り付ける場合は太い中肋を避け、葉の裏面と密着させます。接着力が強いので、貼り直すと葉が裂ける場合があります。 貼り付け直後から直ちに時間を計測し始め、色変化(青色が薄赤色に変わった時点)が生じるまでの時間を計ってください。 |
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「水分ストレス表示シート」の貼り付け状態 | |||||||||||||||||
貼り付け後の時間計測を行い、色変化を観察 | |||||||||||||||||
色変化までの所要時間によって、水分ストレス状態を判断できます。 | |||||||||||||||||
ミカンなどの常緑果樹とブドウなどの落葉果樹では水分が十分な状態でのもともとの蒸散速度が異なる樹種特性があるために、色が変わるまでの時間が異なります。下図はいくつかの樹種で水分状態が異なる樹体でのシートの色変化までの時間と蒸散計測装置(ポロメーター)による蒸散速度の関係を調べたものです。これらから、ミカンでは貼り付け後約130秒以内(図3)、ブドウやモモなどでは110秒以内(図4~6)で色が変われば、 十分な水分量が保たれていると考えられます。 図3~6に示された各樹種において、両者の関係からどの程度の時間で色が変わるか(青色がなくなって薄赤色に変わった時点)、あるいは色が変わらないかによって、樹体の水分ストレスの程度を簡易的に推測することができます。たとえば、ブドウ、モモ、ニホンナシで色変化に約200秒を要する場合には、十分な水分状態からおよそ50~60%低下している状態と推測でき、ミカンでは同様に約230秒を要すると推測できます。
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上段左(図3):ウンシュウミカン葉における蒸散速度と表示シート貼付け後の色変化までの時間の変化、黒塗りのプロットは十分な水分量状態(以下同じ) 2) 上段右(図4):ブドウ 下段左(図5):モモ 下段右(図6):ニホンナシ |
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●使用上の注意 2)同一園地であっても樹体によって水分状態が異なる場合があります。必要に応じて複数の樹体で計測してください。 3)アルミ個装から取り出したシートは空気中の湿度の影響を受けるので、取り出し後直ちに使用してください。また、一度使用したシートの再使用はできません。 4)果樹の中でも比較的葉の薄いモモなどの樹種では、シートを剥がすときに葉が裂ける場合もあるので、注意して剥がしてください。 5)色変化の所要時間はシート中央部の青色が薄赤色に変化した時を目安としてください。 6)他の作物などで利用する場合はその作物の蒸散作用の特性を計測して、シートの色変化との関連を把握する必要があります。 |
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●参考文献 1)ウンシュウミカン樹における水分状態の簡易把握のための‘水分ストレス表示シート’の 開発. 園芸学研究.第 6 巻(4):541(2007). 2)果樹における‘水分ストレス表示シート’を用いた樹体の水分状態の評価.園芸学 研究.第 15 巻 (4) : 401(2016). |
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■購入申し込み お近くの JA などを通じてご注文ください。 ■販売元 日本園芸農業協同組合連合会 URL (http://www.nichienren.or.jp/) |
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